2009年10月22日木曜日

追加催し物案内・新見「中世たたら製鉄」開催

日刀保たたらより恒例の岡山県新見市の「中世たたら製鉄」の情報が届きました。
開催日は、10月24日(土)、25日(日)で、24日15:30から火入れを行い操業スタート、25日日14:00頃炉の解体予定とのことです。なお、解体は炉の状態によるため、時間の確定は出来ないとのこと。
解体が早くなって終わっていたら残念ですので、見学は、お早めにどうぞ。
24日の夜は、徹夜で操業。見学は自由。一部体験もできそうです。
場所は、新見市正田地内(旧保育園跡地)。
24日25日は、久保刀匠による5寸釘を使ったペーパーナイフの教室も開催されるとのことです。
今週末で、催し物が重なりますが、関心のある方は、どうぞご参加ください。

詳しくは、お役立ちホームページの「備中国新見庄たたら」をご覧ください。

2009年10月5日月曜日

催し物案内

近隣の催し物案内です。何か情報がありましたらお寄せください。


「お守刀展覧会・好評開催中」 
   現代刀工・刀職者による、お守刀と外装の展示会です。
 岡山県・備前長船刀剣博物館 http://www.city.setouchi.lg.jp/~osa-token/
      9月16日~12月6(日)
 長野県・坂城町鉄の展示館  http://tetsu.town.sakaki.nagano.jp/
      9月19日~12月6日(日)
      *両会場で作品を展示のため、
       会期中の10月26日~28日の休館日に展示作品の入れ替えを行います。
       精細は、下記、刀匠会ホームページをご覧ください
       http://www.tousyoukai.jp/kikaku/event/index.shtml  

「お守刀展」
  お守刀展覧会出品作品展示即売会
  長野東急デパート 12月11日(金)~12月16日(水)

「盆栽・新古美術展」
  呉市・虹村協同福祉会館 http://www.kure-tetsu.or.jp/about/index.html#fukushi
     10月24日(土)(9:00~17:00)~10月25日(日))(10:00~17:00)
  盆栽古美術甲冑刀剣などの展示

風土記の丘体験教室
「たたら製鉄に挑戦しよう」
  みよし風土記の丘
     10月31日(土・10:00~16:00)開催予定
       指導講師・久保善博刀匠
     体験希望者募集中10月17日(土)までに往復葉書か
     下記ホームページから携帯電話による電子申告も可能です。
http://www.manabi.pref.hiroshima.jp/rekimin/taikenkyoushitu1.html

「平家一門の栄華と瀬戸内海」
 広島県立歴史博物館
  http://www.manabi.pref.hiroshima.jp/rekishih/
   10月16日~11月23日
   近年明らかになった出土資料などを交えながら,
   平氏政権と瀬戸内海との結びつきに焦点を当てた展示 


「変わりゆく広島の町並み-城下町から近代都市へ」  
  広島城 http://www.rijo-castle.jp/rijo/main.html
    10月18日まで
     写真パネルなどで、町並みの変遷を展示紹介

「吉川資料館・秋の展示」
    12月23日まで
   吉川元春画像(江戸時代)、太平記、吾妻鏡、吉川家文書など31点展示。
   恒例展示 国宝・狐ヶ崎の太刀(期間・・・平成21年9月17日~11月23日) 
    http://www.sky.icn-tv.ne.jp/~kikkawa7/page008.html

「詩豪・頼春水・その生涯と書」
   10月8日~11月23日
   頼山陽の父春水の幼児期から絶筆に至るまでの筆跡を紹介し、人間像に迫ります。
   頼山陽史跡資料館
   http://www.ccv.ne.jp/home/raisanyo/tenji96.htm

「鉄の歴史フォーラム2009」
http://www.tetsunorekishimura.jp/fourm.htm
講師:山口県文書館・山崎一郎氏 「中国山地でのたたら製鉄」~安芸地域の事例から~
特別講演:島根大学教育学部教授・相良英輔氏「田部家古文書調査から知りえたこと」
    主催・鉄の歴史村事業団
  吉田健康福祉センター2階11月14日(土)13:30~17:00
  参加費: 1,000円(賛助会員無料)
関連事業:近代だたら操業 11月13~14日(24時間操業)

9月の三慶会・報告

9月27日の三慶会は、藤中支部長の都合が悪くなり、
急遽、会員の箕浦さんにピンチヒッターお願いしました。
今回のテーマは、錵と匂いについてです。
錵出来の刀とか匂い出来の刀と言うので、
錵だけの刀や匂いだけの刀があると思ったら、大間違い。
これは、便宜的に言っているだけで、
刃文は、霧のような匂いの上に、錵がついているもので、
錵をどれだけ多く感じるかで、
錵本位とか匂い本位というイメージの方がよいようですね。
改めて、錵や匂いをみんなで観察しました。

今回は、参加者がわりと少なく、
その分ゆっくりと鑑賞できてラッキーと
思ったのは、私だけだったでしょうか。
何度も書きますが、解説は、私のメモ書きをもとにしていますので、
完璧に正しいものではありません。
雰囲気をつかんでいただけたらいいなと思います。
まちがいがあったら教えてください。

次回は、10月25日支部鑑賞会に参加予定です。

鑑賞刀一覧
脇差 銘 波平大和守安国 (享保頃の刀匠)
匂口深く錵出来、物打ちに芋づると称される働きがあるが、品の良いもので、金筋に見まごう。健全な姿で、うぶ刃が残っているのではないかという意見も出た。茎は檜垣ヤスリ。安国は、一平安代の師と伝えられ、父・安貞(5男)の兄で、4男であったという
刀  無銘(二字国俊・第48回重要刀剣)
錵本位の丁字乱れ。備前の丁字は、相州に移った助真を除くと匂い本位の作風であるが、山城の丁字は小錵がつくことが特徴で、焼頭がそろうことも特徴。それに対して備前の丁字は、刃先が揃い、焼頭は、出入りがあって華やかである。
脇差 無銘(大和志津・保存刀剣)
相州伝と大和伝の両方の要素がある作品を、大和志津ときわめられる焼巾は低いが、金筋、砂流し、飛び焼なども見受けられ穏やかさの中に激しさが秘められて魅力を感じる。中程上に、しなえが見受けられるのがおしまれる。これは分子の間に炭素が析出したときに見られるとのこと。 
刀  無銘(手掻包吉・刀苑上々作)
中程より下、刃側板目流れて柾ががり、上は板目、地景風の黒い肌強く交じる。小錵出来で、打ちの気、食い違い刃がある。直刃なので、三原かと思われるが、帽子の返りがきれいであり、三原の滝落しや虎の尾返りとは異なる。
刀  無銘(雲重・第13回重要刀剣)
煮え粒が小さく、匂い出来かと思われるような出来で、図譜には、匂い深く錵つくとある。直刃調で小足が入り、青江風にも見える。
刀  無銘(参考刀)
板目よくでて、物打ちあたりに映りの気配を感じる。兼光などに見受けられる直刃調で、角張って節のある刃文。匂口しまり、明るく破綻がない。

8月の三慶会

8月は、事情があって、9月6日に例会を開催しました。
(財)日本美術刀剣保存協会広島支部 藤中支部長の刀剣解説、
久々の、例会で手入れの指導も、堂道さんの指導で行われました。
大原住真守は、久しぶりに拝見しましたが、
時代を表す優雅な姿は、とても魅力的でした。
また、様々な地方の作品で、時代も様々、楽しい会となりました。

鑑賞刀一覧
太刀 (伯耆)大原住真守 
磨上げられているが、腰反りが残り、小切っ先、鍛えは、板目。直ぐ刃仕立ての小乱れ、足・葉が良く入り、匂い深く、小錵良く付く。本阿弥日収先生の鞘書きには、「時代嘉祥之頃」とあります。
*日清戦争の折、広島に大本営が移されたとき、明治天皇についてこられた元・肥後藩家老の米田寅夫男爵が、戦争が終結して東京に帰るみぎり、広島の安田氏より掛け軸を送られたのに対して、誤解を招くことを危惧して安田氏に贈ったものであると米田男爵の箱書きがあるとのこと。この太刀は、米田男爵の父が刀剣愛好家で、所持されていたものという。
刀   無銘(極・青江)
反り高く大切っ先、目釘穴4個、二筋樋茎の中で丸止め。直ぐ刃仕立て逆がかる小足入り、帽子尖り心。南北朝時代のダンビラな姿で、帽子が三角に見えるものは、左文字一派か青江に多いことなどから、青江の極めとなっている。
刀   井上和泉守国貞、 (菊紋)寛文五年三月日
寛文時代特有の反りの浅い刀姿。焼幅広く、錵本位、箱ががかった、のたれ仕立ての、互の目乱れ、匂口が明るい。
刀   粟田口近江守忠綱 寛文参年二月吉日 
初代忠綱。食い違い樋を施し、丁字風な互の目にとがり刃を交えた乱れ、焼出しを伴う。

7月の三慶会・報告

7月は、支部鑑賞会に参加しました。
鑑賞会は、
刀剣博物館より石井彰先生をお迎えしての鑑賞会です。
7月は、三慶会からお願いしてふやしていただいた鑑賞会という経緯があるので
いつもドキドキしています。
当日は、大雨、災害の発生した地方もあり、開催も危ぶまれるほどでした。
しかし、多数の皆さんの参加をいただき、ほっと胸をなで下ろしました。
鑑賞刀のラインナップを紹介します。
解説や感想は、完璧ではありません。
どんな刀を見て勉強していたのか、覚え書きを掲載して、
雰囲気を感じていただけたらいいなと思います。
誤りや認識違いがありましたら、ご教示ください。
勉強させていただきます。

なお、参加してみたいと思われる方が居られましたらお知らせください。
参加方法をお知らせいたします。
次回支部鑑賞会は、10月25日福山での予定です。

鑑賞刀一覧
刀   國廣
ざんぐりとした堀川国広特有の肌。志津や貞宗などをねらったもののように感じた。堀川国広二筋樋を掻くことが多いとの事。
刀   藤原廣實
在銘がとても少ない刀匠で、4振り程度しか思い当たらない、大変珍しい作品。国広と遜色のない作品で、国広の代作代銘をした刀匠ではないかと思われている。以前は、国広の前銘ではないかと言われたこともあったが、今は弟子と思われている。また、大隅掾正廣の前銘とも言われているが、正廣は、長寸のものが多い。
刀   辻村越中守藤原高平花押 元和八年三月三日
初代兼若である。堀川帽子を焼く。錵崩れがある乱れ刃で間延びした箱がかった刃があり、表裏そろう。前田公の命日三月三日を切り込んでいることから、法要に際して切り込まれたものかもしれない。元和5年10月5日~元和7年の間に改名をしている。
 初代兼若は、若の字の、上部が、半のように草冠が切られ、かつ半の字のように左払いがまっすぐ上に突き出て、土のように縦棒が止まり、さらに石のように左払いを切り始める。
 2代目は、草冠は同様であるが、左払いが、上に突き出ることもなく、途中でとぎれずに、右の字のように切る。また兼の字は、下部が途中でとぎれて、从のように、人の字を2つ切る。
刀  於南紀重國造之
慶長時代の人であるが慶長風な姿が少ない。得意な作風は1.相州風な作風・少ない。2.手掻風な作品・直刃幾分鎬が広めで高く、焼詰めになることが多く、地は幾分流れる。
 この作品は、相州風な作品で、板目に縦に木目が流れる様に交じる。上に行くに従って焼幅が広くなり、帽子は表裏異なり、表焼詰め、裏直ぐに返る。
刀  肥前國住伊豫掾源宗次
いつもの肥前刀とは異なり、指し表に銘を切る。また、源銘を切る。規則性を帯びた刃文ではなく、剛胆で尖った刃を交え、乱れこんで返る。3代の勝手上がりのヤスリ目の場合は、任官名は無い。慶長11年官位をもらっている。銘の國の字に変化があり、任官前と後では銘ぶりが異なるので注意。